結婚相談所の仕事を26年間続けていると、本当にたくさんの方と出会います。
ご入会されたばかりの方。
何度かお見合いを重ねている方。
交際が始まり、少しずつ距離を縮めている方。
思うように進まず、不安になっている方。
そして、長い活動の末に、大切な方と出会われる方。
一人ひとりに、それぞれの人生があります。
同じ「婚活」という言葉で括られていても、その背景は決して同じではありません。
仕事に打ち込んできた方もいれば、家族を支えてこられた方もいます。
子育てを終えて、ようやく自分の時間を持てるようになった方。
親御様の介護や、ご自身の体調と向き合いながら、これからの人生を考え始めた方。
離婚や死別を経験し、
「もう一度誰かと人生を歩むことなんて、自分にはないと思っていました」
とお話しくださる方もいらっしゃいます。
だから私たちは、結婚相談所の仕事を単純に、
「独身の男女を紹介する仕事」
だとは考えていません。
もっと深いところにある、
「これからの人生を、誰と、どう生きていくのか」
というお気持ちに寄り添う仕事だと思っています。
そして、この仕事を続ける中で、会員様からいただく言葉に、こちらが励まされることが何度もあります。
「相談してよかったです」
「少し気持ちが楽になりました」
「もう少し頑張ってみようと思います」
「自信を持って進めそうです」
そんな一言をいただくたび、
この仕事を続けてきてよかった、と感じます。
先日も、ある会員様から、とても心に残るメールをいただきました。
その方は、決して何も悩まずに人生を歩んでこられた方ではありません。
これまで、ご自身のことだけではなく、ご家族のこと、生活のこと、仕事のこと、そして体調のこと。
さまざまなことを考えながら、一つひとつ乗り越えてこられました。
お話を伺っていると、
「自分の幸せだけを考えて生きてきた方ではないのだろうな」
と感じることがあります。
むしろ、自分以外の誰かを優先することの方が多かったのではないか。
自分が我慢すればいい。
自分が頑張ればいい。
今は自分のことを考えている場合ではない。
そうやって何年も、時には何十年も過ごしてこられたのではないか。
そのように感じる方は、婚活の現場には少なくありません。
そんな会員様からいただいたメールの中に、
「気持ちが楽になりました」
「自信を持って、楽しみながら進んでいきたいです」
という言葉がありました。
それだけでも、とても嬉しいことでした。
けれど、最後に書かれていた一言が、私は今でも忘れられません。
「今度は私自身と思います」
短い言葉です。
けれど私は、何度もその一文を読み返しました。
「今度は、私自身」
その言葉の中には、これまで歩んでこられた長い時間が詰まっているように感じたからです。
自分の幸せは、つい後回しになる
人生には、自分だけの都合では動けない時期があります。
仕事で責任ある立場になれば、自分のことより会社や部下を優先することがあります。
子どもがいれば、子どものことが最優先になります。
親御様が高齢になれば、病院や介護のことも考えなければなりません。
家庭の事情があれば、
「私がしっかりしなくては」
と思うこともあるでしょう。
特に真面目な方、責任感の強い方、周囲を思いやれる方ほど、自分のことを後回しにされます。
それは決して悪いことではありません。
むしろ、その方の優しさや誠実さでもあります。
ただ、気がついたときには、
「自分は何がしたかったのだろう」
「自分は誰と過ごしたいのだろう」
「これから先、私はどんな毎日を送りたいのだろう」
ということを、長い間考えていなかったことに気づくことがあります。
20代、30代の頃には、目の前の仕事や生活に夢中だった。
40代、50代になれば、それなりに生活も出来上がってくる。
そして60代を迎える頃、
ふとした瞬間に、
「この先もずっと一人なのかな」
と感じる。
それは寂しいから、という理由だけではありません。
美味しいものを食べたときに、
「美味しいね」
と言える相手。
きれいな景色を見たときに、
「ここに来てよかったね」
と言える相手。
少し体調が悪いときに、
「大丈夫?」
と声をかけてくれる相手。
嬉しい出来事があったときに、一番に伝えたい相手。
そんな存在がいる人生と、いない人生。
年齢を重ねるほど、その違いを静かに考える瞬間が増えていくのかもしれません。
「今さら婚活なんて」と思っていませんか
ご相談にいらっしゃる方の中には、最初にこうおっしゃる方がいます。
「もうこの年齢ですから」
「私なんて難しいですよね」
「今から始めても遅いですよね」
「若い方とは違いますから」
そのお気持ちはよく分かります。
婚活という言葉を聞くと、
20代や30代の方が結婚相手を探すもの、というイメージを持っている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実際の人生はそんなに単純ではありません。
結婚したいと思う時期は、人それぞれです。
30歳で結婚したい方もいれば、50歳になってから初めて「これからの人生を誰かと歩みたい」と思う方もいます。
60代になり、仕事が一段落してから、
「残りの人生を一人で過ごすのではなく、気の合う人と穏やかに暮らしたい」
と思われる方もいます。
何歳だから早い。
何歳だから遅い。
私は、そういうものではないと思っています。
大切なのは、
「今、自分がこれからの人生を変えたいと思っているかどうか」
です。
人生は、昨日までどうだったかではなく、これからどうしたいかで変わっていくことがあります。
婚活は、自分自身と向き合う時間でもある
結婚相談所に入会 すると、まずプロフィールを作ります。
年齢。
職業。
学歴。
趣味。
家族構成。
結婚後に希望する生活。
お相手への希望。
一見すると、ただ情報を入力しているだけのように見えるかもしれません。
しかし、プロフィールを作る過程で、多くの方が自分自身に問いかけることになります。
「私は、どんな結婚生活がしたいのだろう」
「どんな人となら穏やかに暮らせるのだろう」
「自分にとって本当に大切なものは何だろう」
「譲れないことは何だろう」
そして意外なことに、
婚活を始めるまで、自分自身でも分かっていなかったことに気づく方が少なくありません。
条件の良い方と結婚したいと思っていたけれど、実際には、一緒にいて安心できる人の方が大切だった。
年収や肩書きを重視していたけれど、話をきちんと聞いてくれる人に惹かれた。
年齢差は気にしないと思っていたけれど、実際に会ってみると同世代の方が自然だった。
逆に、絶対に無理だと思っていた条件でも、お人柄が素敵で気にならなくなった。
婚活は、人を探す活動であると同時に、
「自分がどんな人生を望んでいるのかを知る時間」
でもあるのです。
条件だけでは、ご縁は決まらない
もちろん、婚活では条件も大切です。
年齢。
居住地。
仕事。
収入。
学歴。
家族構成。
生活スタイル。
どれも、結婚後の生活に関係するものです。
しかし26年間、多くの方を見てきて思うのは、
条件だけで結婚が決まるわけではない、ということです。
プロフィール上では理想的に見えたのに、実際に会ってみると何か違う。
逆に、最初はそこまで気になっていなかった方なのに、会ってみると話が止まらない。
帰宅してから、
「また会いたいな」
と思う。
そういうことが本当にあります。
だから婚活では、
「この人が理想の条件に全部当てはまるか」
だけではなく、
「この人といる自分は自然でいられるか」
という感覚も大切にしていただきたいと思っています。
一緒にいるとき、自分を良く見せようと頑張り過ぎなくていい。
沈黙があっても苦しくない。
何か失敗しても笑える。
考えが違ったときにも、話し合える。
そんな相手との出会いは、数字だけでは表せません。
お見合いがうまくいかなかったからといって、自分の価値が下がるわけではない
婚活を始めると、どうしても結果が気になります。
申し込みをした。
返事が来なかった。
お見合いをした。
その後につながらなかった。
交際が始まった。
でも途中で終わってしまった。
そんなとき、多くの方が自分を責めます。
「私の年齢が悪いのかな」
「見た目が良くないのかな」
「話が面白くなかったのかな」
「もう私には無理なのかな」
でも、婚活には必ず相手があります。
こちらが素敵だと思っても、お相手のタイミングと合わないことがあります。
逆に、お相手から好意を持っていただいても、自分の心が動かないことがあります。
これは、誰が良いとか悪いという話ではありません。
ご縁とは、そういうものです。
だからこそ、一度のお断りや、数回のお見合いの結果だけで、
「自分には価値がない」
と決めないでいただきたいのです。
婚活で必要なのは、完璧になることではありません。
自分を否定せず、一つの結果に必要以上に傷つかず、
「今回はご縁が違ったのだな」
と次へ進むこと。
簡単ではありません。
だからこそ、私たちのような相談所がそばにいる意味があると思っています。
私たちが紹介だけで終わりたくない理由
結婚相談所ですから、お相手をご紹介するのは当然です。
でも私たちは、それだけで終わる仕事にはしたくありません。
不安になったとき。
迷ったとき。
お相手の気持ちが分からなくなったとき。
自信をなくしたとき。
そのときに、
「一人で考えなくていい」
と思っていただける存在でありたい。
婚活では、少しの言葉で気持ちが変わることがあります。
「大丈夫ですよ」
と無責任に励ますのではありません。
今、何が起きているのか。
どこを調整すればいいのか。
今は待った方がいいのか。
もう少し動いた方がいいのか。
26年間の経験の中で見てきたものをもとに、その方に必要なことをお伝えする。
それが私たちの役割だと思っています。
「今度は私自身」
今回いただいたメールの、
「今度は私自身と思います」
という言葉。
私はこの言葉を、婚活だけの言葉だとは思っていません。
これまで誰かのために頑張ってきた。
仕事のため。
家族のため。
子どものため。
親のため。
周囲の期待に応えるため。
そうやって生きてきた方が、
「これからは、自分の人生も大切にしてみよう」
と思われた。
それは、とても大きな一歩だと思います。
幸せになることに、遠慮はいりません。
誰かを大切にしてきた人だからこそ、
今度は自分自身も大切にしていい。
これまで頑張ってきた人だからこそ、
これからの人生を楽しんでもいい。
結婚をするかどうか。
婚活を始めるかどうか。
それは、その方ご自身が決めることです。
ただ、
「年齢が理由で諦めている」
「今さらと思って諦めている」
「自分には無理だと思い込んでいる」
のだとしたら、一度だけでもお話を聞かせていただきたいと思います。
もしかすると、本当に難しい条件もあるかもしれません。
ご希望を少し整理した方がいい場合もあります。
すぐに理想の方と出会えるとは言えません。
けれど、
「何もしないうちから、自分の未来を閉じてしまう必要はない」
ということだけは、26年間この仕事をしてきた中で、強く感じています。
人生の後半だからこそ、誰と過ごすかが大切になる
若い頃は、一人でも忙しく過ごせます。
仕事。
友人。
趣味。
旅行。
さまざまな予定があります。
しかし年齢を重ねるにつれて、
人生の豊かさは、
「何を持っているか」
だけではなく、
「誰と時間を過ごすか」
にも大きく左右されるようになります。
朝、一緒にコーヒーを飲む。
夕食を食べながら今日あったことを話す。
週末に少し遠くまで出かける。
季節の花を見に行く。
誕生日を一緒に迎える。
体調を崩したときに心配し合う。
そんな何気ないことが、実は人生の中でとても大きな幸せなのだと思います。
豪華な出来事でなくてもいい。
毎日の中に、
「この人がいてくれてよかった」
と思える瞬間があること。
それこそが、多くの方が求めている結婚なのではないでしょうか。
私たちも、会員様から励まされています
「相談してよかった」
「少し気持ちが楽になった」
「これから楽しんで活動していきたい」
そんな言葉をいただくたび、
私たちは会員様を励ましているつもりで、実は会員様から励まされているのだと気づきます。
今回のメールも、私にとって忘れられない一通になりました。
長くこの仕事をしていても、一通のメールに心を動かされることがあります。
それは、そこに一人の方の人生と決意があるからです。
「今度は私自身」
そのお気持ちを、大切にしていただきたいと思います。
そして私たちも、その方がこれからの人生を、
「婚活を始めてよかった」
「一歩踏み出してよかった」
と思えるよう、精一杯お手伝いしていきたいと思います。
もし今、この文章を読んでいるあなたが、
仕事や家族を優先し、自分自身のことをずっと後回しにしてきたのだとしたら。
もし、
「もうこの年齢だから」
「私には今さら無理だから」
と思っているのだとしたら。
すぐに結婚を決める必要はありません。
すぐに入会を決める必要もありません。
まずは、
「私はこれから、どんな人生を送りたいのだろう」
と、自分自身に聞いてみてください。
その答えの中に、
「誰かと一緒に歩いていきたい」
という気持ちが少しでもあるのなら。
その気持ちを、最初から諦めてしまわないでください。
人生の新しい一歩に、決められた年齢はありません。
50歳からでも。
60歳からでも。
70歳からでも。
人生は続いていきます。
だからこそ、
これまで誰かのために頑張ってきた方へ。
次は、
あなた自身の幸せを考えてみませんか。
「今度は私自身」
その一言が、これからの人生を変える最初の一歩になるかもしれません。
