現代の婚活市場では、「年収」「学歴」「容姿」といったスペックへの関心が先行し、その先にある“関係性の構築”に対する視点が抜け落ちているケースが多く見られます。

出会っても続かない。ときめきはあるのに深まらない。なぜかうまくいかない。

こうした違和感の背景には、恋愛と愛情の“本質的なズレ”が横たわっています。

エーリッヒ・フロムは、『愛するということ』の中で次のように述べています。

「愛は感情ではない。愛は技術であり、成熟した人格による行動である。」

愛とは「受け取るもの」ではなく「実践するもの」であり、
感情的な高揚ではなく、継続的な努力と責任の結果として成熟していくもの。

つまり、結婚相手との関係を育てるうえで必要なのは、
愛される資質よりも、愛するための意志と姿勢なのです。

恋愛とは非日常的な体験であり、限定的な場面での魅力の共有です。
しかし結婚とは、日常生活そのものの共有であり、
価値観や習慣、感情の変化も含めた“人間性のすり合わせ”の連続です。

フロム曰く「恋に落ちるのは容易だが、愛し続けるには努力が必要である」

婚活において、初対面での「ドキドキ感」や「条件的な合致」ばかりを求めてしまうと、
真のパートナーシップに必要な“内面的な成熟”にたどり着けない可能性があります。

条件やスペックではなく、関係性の可能性に目を向ける婚活こそが、
成婚率の高い女性たちの共通点です。

フロムはこうも述べています。

「愛するという行為は、相手の人格の深い理解に基づいている」

相手が何を大切にして生きているか。
その価値観を共有・尊重できるか。

出会いの評価軸を“表層的条件”から“関係性の質”へシフトすることで、
婚活の迷いは大きく減少します。

「好かれたい」「選ばれたい」といった承認欲求が強すぎると、
自分の在り方が他者に依存し、無理を重ねる婚活になってしまいます。

フロムは「愛されること」ではなく「愛する能力」が人を幸福にすると説きました。

他者に与えること、受け容れること、寄り添うこと。
これらはすべて、自我の安定と自己信頼を土台に成り立つ“愛の行為”です。

 

6. 自己との関係性が、他者との関係を規定する

フロムは繰り返し「自己への愛」と「他者への愛」の関係性に言及しています。

自己肯定感が低いままでは、相手に対して過度な期待や疑念を抱きやすくなり、
建設的な関係の構築が困難になります。

逆に、自分を受け容れ、尊重できるようになると、
相手の不完全さにも寛容になり、関係性の安定が生まれます。

 

7. 婚活女性のための「愛する力」実践トレーニング

愛する力は、抽象的な感性ではなく“日常的な思考と行動の訓練”によって育まれます。
以下に5つの実践法を提案します。

1. 感情を内省し、言語化する習慣をもつ

2. 他者の視点から状況を想像するクセをつける

3. 完璧を求めず、変化を受容する姿勢を育てる

4. 対話の中に意識的に「感謝」を混ぜる

5. 過去の経験を“糧”として解釈する認知力を持つ

8. 結びに｜成熟した愛こそ、真に満たされる婚活のゴール

婚活は、単なる“条件マッチング”ではありません。
真のゴールは、「この人と共に生きていこう」と思える、
成熟したパートナーシップを築くことにあります。

そしてそれは、自分が“愛せる人間”であるかどうかにかかっています。

出会いに悩むとき、自分の心にこう問いかけてみてください。

「私は、誰かを真に愛する準備ができているだろうか」

フロムの言葉をヒントに、表面的な条件や恋の高揚に振り回されるのではなく、
本質的な愛と成熟した関係を目指す婚活を——。

それがきっと、心から満たされる結婚への第一歩となるはずです。

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