「いい人がいないんです」
50代・60代の方とお話ししていると、
この言葉を本当によく耳にします。
長く婚活をしてきた方、
一度結婚を経験された方、
あるいは人生の後半に、改めてパートナーを考え始めた方。
皆さん、口を揃えてこうおっしゃいます。
「条件で探しているわけではないんです」
「高望みしているつもりもないんです」
「でも、なかなか心が動かなくて……」
けれど、時間をかけてゆっくりお話を伺っていくと、
本当に「いい人がいない」わけではないことが、少しずつ見えてきます。
多くの場合、
心が少し疲れているだけなのです。
「いい人がいない」と感じる背景にあるもの
若い頃であれば、
多少の不安や違和感があっても、
勢いや期待感で前に進めたかもしれません。
しかし、50代・60代になると違います。
これまでの人生で、
・期待して裏切られた経験
・信じて傷ついた経験
・一生懸命向き合ったのに報われなかった経験
そうした記憶が、心の奥にきちんと残っています。
そのため、
・また期待して、同じ思いをするのではないか
・また我慢する関係になるのではないか
・どうせ最後は一人になるのではないか
そんな不安が、無意識のうちにブレーキをかけてしまうのです。
頭では
「この人は悪くない」
「条件的にも問題ない」
と分かっていても、
心が前に進めない。
それは、相手が悪いのではありません。
あなたの心が、これ以上傷つかないように守っている状態なのです。
それは「弱さ」ではなく、「誠実さ」です
「自分は冷めてしまったのかな」
「人を好きになる力がなくなったのかな」
そう感じて、
自分を責めてしまう方も少なくありません。
けれど、それは決して弱さではありません。
むしろ、
これまで人と真剣に向き合い、
簡単な関係を選ばず、
一つひとつの縁を大切にしてきた証です。
もし心が全く疲れていなければ、
もっと軽く、適当に、
誰とでも付き合えてしまうでしょう。
でも、そうできないからこそ、
「いい人がいない」という言葉が出てくるのです。
それは、
「誰でもいいわけではない」
という、あなたの誠実さの表れでもあります。
必要なのは「いい人探し」ではありません
この段階で、多くの方がやってしまうのが、
さらに条件を見直し、
さらに活動量を増やし、
「もっと探さなければ」と自分を追い立ててしまうことです。
けれど、心が疲れたまま探し続けると、
どうしても人を見る目は厳しくなります。
・欠点ばかりが目につく
・小さな違和感が許せない
・「この人も違う」と早く結論を出したくなる
これは、相手を見る目が肥えたわけではありません。
心に余裕がない状態なのです。
本当に必要なのは、
「いい人を探すこと」ではなく、
自分の気持ちを一度、休ませてあげること。
心が休むと、人の見え方が変わります
少し活動を緩めたり、
無理に予定を入れない期間を作ったり、
「今日は婚活のことを考えない」と決める。
たったそれだけでも、
心は少しずつ回復していきます。
不思議なことに、
心が軽くなってくると、
今まで見えなかった相手の良さが、自然と目に入るようになります。
・この人、安心感があるな
・一緒にいると気を張らなくていいな
・無理をしなくていい関係かもしれない
それは、条件では測れない感覚です。
50代・60代のご縁は、
ときめきよりも、
「心が静かになる感覚」から始まることが多いのです。
ご縁は「探した量」ではなく「心の状態」で決まる
長くこの仕事をしていると、
ご縁が結ばれる方には、ある共通点があると感じます。
それは、
必死に探している時よりも、
「もう、無理しなくていいかもしれない」
と肩の力が抜けた時に、
不思議とご縁が動き出すということです。
探し続けている時は、
どうしても
「この人で大丈夫だろうか」
「失敗したくない」
という不安が前に出ます。
一方で、心が整った時は、
「この人となら、自然でいられそう」
「一緒に歳を重ねるイメージができる」
そんな感覚が静かに芽生えてきます。
ご縁は、
追いかけた人よりも、
整った人のもとに、静かにやって来る。
これは、決して偶然ではありません。
心の指圧師としてお伝えしたいこと
「いい人がいない」と感じた時、
それは活動が足りないサインではありません。
むしろ、
心が少し疲れているサインです。
無理に前向きにならなくていい。
無理に期待しなくていい。
無理に人を好きになろうとしなくていい。
一度、自分の気持ちにこう声をかけてみてください。
「よくここまで頑張ってきたね」
「少し休んでもいいよ」
その言葉を、自分にかけられるようになった時、
人に対しても、自然と優しくなれます。
最後に
50代・60代のご縁は、
若い頃のように勢いで決めるものではありません。
だからこそ、
心の状態が何より大切です。
「いい人がいない」のではなく、
心が少し疲れているだけ。
そう気づけた時、
ご縁の流れは、少しずつ変わり始めます。
整った心のもとへ、
ご縁は、静かに、確かに、やって来るものです。
