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「恋愛はいかに成就されるのか」〜アドラー心理学の視点から〜

2025.06.14

ショパン・マリアージュ

序章:「恋を目指す旅」

1. はじまりは「なぜ恋に惹かれるのか」

私たちはなぜ、恋に惹かれるのでしょうか。幼い頃から読み聞かされた物語の中では、王子とお姫さまが出会い、さまざまな困難を乗り越え、最後に「幸せに暮らしました」と締めくくられる恋が描かれていました。あるいは、思春期に初めて抱いた「好き」という気持ち。誰かの笑顔に胸が高鳴り、名前を聞いただけで一日中その人のことが頭から離れない。こうした経験の一つひとつが、「恋とは何か?」という問いを私たちに投げかけ続けます。

アドラー心理学では、恋愛とは単なる感情の起伏ではありません。それは「人生の三大課題」の一つ、すなわち「愛の課題」としての深い意味を持つ営みです。アルフレッド・アドラーは、「仕事」「交友」「愛」の三つが人生を構成する根源的なテーマだと考えました。そしてその中でも恋愛——特に親密な関係における課題——は、最も困難で、かつ人間の成長を促す挑戦だとされます。



2. アドラー心理学とは何か?

アルフレッド・アドラー(1870-1937)は、オーストリア出身の精神科医であり、精神分析の創始者ジークムント・フロイトと同時代を生きた人物です。かつてはフロイトの弟子と目されていましたが、人間の心を「性欲」ではなく「劣等感の克服と社会的貢献」という観点から捉えるアプローチにより袂を分かち、自らの理論体系である「個人心理学(Individual Psychology)」を築きました。

アドラーは人間を決して受動的な存在とは見なさず、常に「目的志向的」に行動する存在として描きます。すなわち、人は無意識的にでも「どこかへ向かって」生きている、という考え方です。したがって、恋に落ちることもまた、「成長したい」「認められたい」「誰かと深くつながりたい」という目的の現れなのです。



3. 恋愛とは“協働”の挑戦

アドラーにとっての愛とは、単なるロマンスや感情の共有ではなく、「人生を共に築く共同作業(cooperation)」としての意味を持ちます。そこでは「支配」「依存」「自己中心性」は歓迎されず、むしろ「自立しながらも協力できること」が大前提になります。

彼は、真の愛とは「相手のことを思いやることができ、かつ自分の価値観を持ち寄りながら、対等に対話できる関係」であると語っています。それは恋愛を“主観的な感情”としてではなく、“関係性の質”として捉える視点です。

たとえば、あるカップルが長年連れ添いながらも互いの価値観を大切にし、自分らしく在り続け、困難に直面しても手を取り合って乗り越える関係があったとします。これは、アドラーが言うところの「愛の共同体感覚(Gemeinschaftsgefühl)」に非常に近いと言えるでしょう。



4. このエッセイの目的

本エッセイでは、「恋愛はいかに成就されるのか?」という問いをアドラー心理学の視点から多角的に捉え、読者のあなたが自らの恋愛観を振り返るきっかけとなることを目指します。

なぜ「好きになる」のか?

なぜ「うまくいかない」のか?

恋愛で「自分が壊れそうになる」理由は?

「本当に成就する愛」とは何か?

これらの問いに対して、理論的な説明だけでなく、実際の事例やカウンセリングを通した変容のエピソードを交えながら進めていきます。

恋愛は、他者との関係性を通して、自分自身を知るための最も深い冒険の一つです。その旅路において、アドラーの心理学がひとつの灯火となることを願って——。


ショパン・マリアージュ

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第1章:劣等感が恋を動かすとき

1. 劣等感は「悪者」ではない

「こんな自分を、誰かが好きになるなんてありえない」。そう思ったことはありませんか? あるいは、「あの人が素敵に見えるのは、自分にはない何かを持っているからだ」と。

私たちの恋の感情には、しばしば“劣等感”がひそんでいます。アドラー心理学は、この劣等感を「人間が成長するためのエネルギー源」として捉えます。すなわち、劣等感は人間の行動を動かすもっとも原始的で強力な推進力であり、それ自体は“悪”ではないのです。

アドラーは、劣等感を次のように定義しました。「人間が自己を他者と比較して、自らを劣っていると感じるときに生じる感覚」。しかし、ここで重要なのは、劣等感があるからこそ、人は「今のままではいけない」「もっと良くなりたい」という“目的”を持つという点です。つまり、恋をするという行為自体が、自己の価値を確かめたい、あるいは補いたいという強い動機と結びついているのです。

2. 事例:太郎さんの物語

太郎さんは、33歳の営業マン。職場では明るく、社交的で、誰からも好かれる存在です。しかし、彼の恋愛はいつも長続きしません。最初は勢いよくアプローチをかけ、関係も順調に見えるのですが、次第に相手の感情に不安を抱き、強く依存するようになり、結果的に重たがられてしまうのです。

カウンセリングの場で、太郎さんはこんなことを口にしました。

「自分のことを、誰も本気で好きになるわけがないって思ってるんです。だから、好きだって言ってくれる人がいると、すぐに全力でしがみついてしまう。」

彼の言葉には、深い劣等感がにじんでいます。幼少期、太郎さんは3人兄弟の末っ子で、何をしても「お兄ちゃんたちのほうができる」と比較されて育ちました。その経験が、無意識のうちに「自分は誰かより劣っている」「認められるには必死にがんばらなければならない」という信念を植えつけていたのです。

恋愛は、太郎さんにとって「劣等感の補償」の場だったのです。誰かに愛されることで、自分に価値があることを証明しようとしていたのです。しかしその過程で、愛されたいがために相手に尽くしすぎ、自分を見失ってしまっていたのでした。

3. 補償と過剰補償の違い

アドラー心理学では、劣等感に対して人は「補償」を行います。たとえば、「話すのが苦手」と思う人が、人一倍聞き上手になることで信頼を得るような行動です。これは健全な補償です。

一方、太郎さんのように、「本当は自分なんて価値がない」という思いから、「誰よりも優秀に振る舞う」「誰からも好かれようとする」など、過剰な努力をする場合、これは「過剰補償」となります。アドラーはこれをむしろ問題行動の引き金と捉えました。過剰補償は本来の自己から逸脱し、持続不可能な「理想の自分」を演じる行為なのです。

恋愛においても、過剰補償は大きな障壁になります。相手に好かれたいあまりに、自分を偽ったり、必要以上に相手に依存したりする。すると、関係は不安定になり、やがて破綻する可能性が高くなるのです。

4. 太郎さんの“回復”と成就

カウンセリングの中で、太郎さんは次第に「相手に好かれようとする自分」を手放し、「自分のままでいても愛される可能性」に目を向けるようになります。

ある日、彼はこんなことを話しました。

「無理して話を合わせたり、尽くしたりするんじゃなくて、自分のままでいられる人と過ごすことのほうが楽しいって、最近やっと気づきました。」

この気づきは、アドラー心理学でいう「洞察(Insight)」の段階です。自分の行動パターンに気づき、それがどんな目的(=愛されたい、認められたい)に基づいていたのかを理解すること。この洞察こそが、恋愛における“回復”の第一歩なのです。

その後、太郎さんは趣味のカメラを通じて知り合った女性とゆっくり関係を育み、1年後に結婚を果たしました。「無理をしないことが、結局一番愛される方法だった」という彼の言葉には、アドラーの教えが深く反映されています。

5. 教訓:「好きになってもらうこと」よりも「自分を好きでいること」

劣等感は恋のエンジンになる一方で、未消化のままだと関係を壊すガソリンにもなります。アドラー心理学は、恋愛における“自己の確立”を何よりも大切にします。

「あなたはあなたのままで、誰かとつながっていい」。この信念を持つことが、劣等感に向き合いながら恋を成就させる、第一歩になるのです。

第2章:ライフスタイルの形成と恋の選び方

1. 人は“自分にふさわしい”恋を選んでいる

「どうして私は、いつもダメな人ばかり好きになるのだろう?」「似たような相手とばかり付き合ってしまうのはなぜ?」

恋愛における“相手選び”は、決して偶然の連続ではありません。アドラー心理学では、人がどのように生き、どんな人と親密になるかは、幼少期に形成された「ライフスタイル(生活様式)」によって大きく影響を受けていると考えます。

ライフスタイルとは、単なる生活習慣のことではありません。それは、人生に対する無意識の姿勢、価値観、そして世界の捉え方のパターンを意味します。たとえば、「人は信用できない」という信念を持つ人は、常に警戒心を持って人と接し、その結果として冷たい人間関係に悩むことが多いかもしれません。

この「ライフスタイル」は、私たちがどのような恋に惹かれ、どのような関係に“落ち着いてしまう”のかを、大きく左右するのです。

2. ライフスタイルはどこで形成されるのか

アドラーによれば、ライフスタイルは主に5〜6歳頃までに家庭環境の中で形成されるとされます。このとき、子どもはまだ論理的に世界を理解する力が十分でなく、「主観的な解釈」によって自分の置かれた状況を理解します。

たとえば、両親が共働きで忙しく、構ってもらえなかった子どもが「自分には価値がないからだ」と解釈するケースがあります。もちろん、それは客観的な事実ではありませんが、本人の中では“真実”として根付き、成長後の対人関係や恋愛に影響します。

兄弟構成も、ライフスタイル形成に重要な影響を与える要素です。第一子、中間子、末っ子、一人っ子——それぞれの立場によって育まれる価値観があり、それは恋愛における役割選びにも現れます。

3. 事例:花子さんの物語

花子さんは、29歳の会社員。長女で、2人の弟の面倒をよく見て育った彼女は、今でも「相手を支えること」に強い価値を見出しています。一方で、恋愛では常に「尽くしすぎてしまう」自分に悩んでいました。

彼女の恋人は、決まって“ちょっと頼りないタイプ”。交際中はいつも彼の世話をし、問題が起これば自分が何とかしようと奔走してきました。しかし関係が長続きしない。「私が頑張らなければ、すぐに崩れてしまう関係って、なんだか寂しい」と語ります。

カウンセリングで彼女は次第に、「支えること」に過剰な意味を見出していた自分に気づきます。幼い頃、親の代わりに弟たちの世話をすることで「役に立つ私」という役割を無意識に引き受けてきた。それが、「愛されるには尽くすしかない」という信念につながっていたのです。

この信念は、ライフスタイルの核心でした。恋人選びの基準も、「自分が支える相手」でなければならないというフィルターで無意識に行われていたのです。

4. ライフスタイルの転換と恋愛の再構築

ライフスタイルは、人生の初期に形成されたものであっても、絶対的な運命ではありません。アドラー心理学は「人はいつでも、自分の人生を再選択できる」と教えます。

花子さんは、自分の信念を見直し、「私は支えられるに値する人間でもある」という新たな前提に立つことで、恋人に対して“頼る”という行動を意識的に取り入れるようになります。最初は「迷惑かもしれない」と躊躇しましたが、彼が嬉しそうに受け止めてくれる姿を見て、安心感を覚えたと語ります。

やがて、彼女は「与えることと受け取ることのバランス」を意識した恋愛スタイルへと変化させました。数か月後、彼女は「こんなに自然体でいられる恋は初めて」と笑顔で話していました。

5. “惹かれる”相手は、ライフスタイルの鏡

恋のときめきや直感的な「惹かれ」は、しばしば自分のライフスタイルの反映です。たとえば、自分に自信がない人は、「自信に満ちた人」に惹かれる傾向があります。それは補償欲求とも結びつきますが、同時に、その人と一緒にいることで「自分もそうなれる気がする」という幻想を抱くからです。

しかし、ライフスタイルに基づいた恋愛は、時に不健全な依存関係や、繰り返すパターンに陥る危険もはらんでいます。だからこそ、まずは「自分はどんな人生の姿勢を持っているか?」を自覚することが、恋愛をより良いものにする第一歩なのです。

6. 教訓:恋愛は自己理解の鏡である

恋の選び方には、あなた自身の人生観が映し出されています。無意識のうちに選び続けてきた恋のパターンには、あなたが幼い頃から抱えてきた“生き方”のクセが現れているのです。

だからこそ、恋に悩んだときは相手を責める前に、まず「自分はどんな人生の地図を持っているのか?」を見つめ直してみましょう。その地図を書き換えることができたとき、新しい愛のかたちが見えてくるはずです。

第3章:共感(社会的関心)とパートナーシップ

1. 恋を育てる「見えない糸」

恋が始まるのは、たいてい突然です。目と目が合った瞬間に「この人かもしれない」と心が騒ぎ、話していくうちに「もっと知りたい」と思う。そんな最初の“高鳴り”が関係の火種になるのは確かです。

しかし、関係が深まり、時間が経過するにつれ、恋愛には「理解し合うこと」や「価値観のすり合わせ」といった、より内面的な課題が浮上します。そのときに最も重要になるのが、アドラー心理学でいう「共感(Empathy)」、そして「社会的関心(Gemeinschaftsgefühl)」です。

アドラーは、幸福な人生を築くために不可欠な資質として「社会的関心(social interest)」を挙げました。これは単なる社会適応ではなく、「他者の立場に立って物事を考え、共に生きる感覚」のことです。恋愛関係においても、この“共に生きる”感覚が持てるかどうかが、関係の持続と質を決めるのです。

2. “わたし”だけでなく“ふたり”を意識する

アドラー心理学では、人間の幸福は「自分のことだけを考える状態」から、「他者と協力しながら生きる状態」へと移行することで育まれるとされます。

恋愛においても、「相手に何をしてもらえるか」ばかりに焦点を当てている間は、関係はうまく機能しません。なぜなら、恋は“消費”ではなく“創造”だからです。ふたりでともに関係を創り上げるという感覚がなければ、恋はいつか枯渇します。

共感とは、相手の言葉にうなずくだけではありません。それは、「相手の世界に足を踏み入れる勇気」を持つことです。そして、そこで見た景色をもとに「どうしたらこの人が少しでも安心してここにいられるか」を考え、行動することです。

3. 事例:健太さんと美沙さんの物語

健太さん(34歳)と美沙さん(32歳)は、付き合い始めたころはお互いに「こんなに気が合う人はいない」と思っていました。趣味も近く、話も弾む。しかし、半年が過ぎたころから、口論が増え始めました。

「どうして、私のことをもっと考えてくれないの?」

「君だって、僕の気持ちを全然わかってくれないじゃないか」

そんな言い合いが日常になり、ふたりは疲れ果ててカップル・カウンセリングを訪れました。

カウンセラーは、ふたりにこう問います。

「あなたは、相手の気持ちを“想像”していますか?」

この問いは、ふたりの関係に静かな衝撃をもたらしました。健太さんは、相手の感情を「論理で説得」しようとし、美沙さんは「自分の期待通りにしてくれないと愛されていない」と感じていたことが明らかになったのです。

そこからふたりは、日々5分だけ「今日どんな気持ちだったか」を語る時間を作るようになりました。互いに話し、互いに耳を傾ける——そこには、「自分を理解してくれる人がいる」という実感が芽生え、やがて「この人のために何かをしてあげたい」という感情が自然と育っていきました。

半年後、ふたりは穏やかな笑顔でこう言いました。

「“わたし”が主語だった恋が、“わたしたち”になった感じがします。」

これは、アドラーが言う“社会的関心”が、恋愛関係の中で実感された瞬間でした。

4. 共感力はトレーニングできる

「共感」という言葉に難しさを感じる人も少なくありません。特に、感情表現が苦手な人や、理性的に物事を処理しがちな人にとっては、「共感しろ」と言われてもどうすればよいかわからないのが本音でしょう。

しかし、アドラー心理学では共感力は“才能”ではなく“習慣”と捉えます。たとえば、以下のような問いを日々自分に投げかけることで、共感力は鍛えることができます。

「相手は、今どんな気持ちだろうか?」

「相手の立場だったら、どう感じるだろうか?」

「この言葉を言われたら、自分ならどう受け取るだろうか?」

こうした問いを習慣にすることで、パートナーとの関係性にも変化が訪れます。言い争いが起こる前に「きっと疲れているんだな」と察したり、「自分の不安をぶつける前に、まず相手の話を聞こう」と思えたりするようになるのです。

5. 教訓:恋とは「想像力」で築かれる

共感とは、「想像する力」であり、「相手の物語に一時的に参加する勇気」です。そして恋愛とは、そうした想像と協力の“積み重ね”で築かれるものです。

「この人は、自分のことをわかってくれている」という感覚が持てるとき、私たちは安心し、自由になり、そして愛を深めることができます。社会的関心とは、ただ「親切にすること」ではなく、「ふたりで幸せになろうとする意志」なのです。

第4章:愛の課題への挑戦

1. 人生でもっとも困難な課題

「愛されたい」「支え合いたい」「この人と一緒に生きたい」。私たちはこうした願いを持ちながら、同時に「傷つくのが怖い」「拒まれるのがつらい」とも感じます。恋愛は、深い親密さを求める営みであると同時に、最も繊細で壊れやすい関係性でもあります。

アドラーは、「愛」を人生の三大課題——仕事、交友、愛——の中でもっとも困難なものだと位置づけました。なぜなら、愛とは「自己と他者が完全に対等な立場で、心と生活を融合させていく関係」だからです。

この課題に真正面から挑むには、“勇気”が必要です。勇気とは、アドラー心理学において「自分は所属してよい」と信じ、他者と関係を築くために一歩を踏み出す力です。愛とは、まさにこの“勇気”を最も要求する人間関係なのです。

2. 「対等な関係」とは何か

アドラーにとって、健全な愛は「支配」でも「依存」でもなく、「協働」によって成り立つものです。どちらかが主導権を握り、どちらかが従う関係では、真の意味での親密さは築けません。

たとえば、「恋人に合わせすぎてしまう」「相手の機嫌に振り回される」といった状況は、対等性を欠いた関係です。一見すると“優しい恋人”のように見えるかもしれませんが、内実は「愛されるために自分を犠牲にしている」ことが多く、いずれ関係は不安定になります。

健全な愛とは、「自分の意志と相手の意志をすり合わせて、共に進んでいくこと」です。そのためには、自己を確立したうえで相手と向き合う“対話力”と“調整力”が不可欠なのです。

3. 事例:洋子さんと真央さんの物語(同性カップル)

洋子さん(33歳)と真央さん(31歳)は、共に教育業界で働く同性カップルです。出会った当初、ふたりはすぐに意気投合し、価値観の近さから恋人関係へと発展しました。しかし、交際2年目に入った頃、洋子さんがこんな悩みを打ち明けてくれました。

「真央は、私を“完璧な人間”だと思いすぎてる気がして。弱いところを見せると、がっかりさせてしまうんじゃないかって思ってしまうんです。」

一方、真央さんもこう言いました。

「洋子に対しては、いつも“尊敬できる人でいてほしい”って思ってしまうんです。実はそれがプレッシャーになってるって、最近ようやく気づいて…。」

このやりとりには、愛の関係における“幻想”と“役割固定”の危うさが表れています。アドラー心理学の視点では、これは「他者を手段として見る」ことによるズレです。相手を「尊敬できる自分の理想像」として見ると、その人の人間性や弱さ、成長の過程を見ることができなくなってしまいます。

ふたりは、その後の対話を通して、「弱さを見せ合えることが、むしろ信頼の証である」という考えに辿りつきました。弱さを受け止め合いながら、支え合い、関係を“創っていく”こと。それこそが「愛の課題への挑戦」だったのです。

4. 愛の課題と性の課題

アドラーは、「愛の課題」の中には、性的な関係も含まれると述べています。これは、単に身体的な親密さの話ではなく、パートナーと「生活のすべてを分かち合う関係」へと向かうことを意味します。

現代社会では、性的指向やジェンダー観が多様化し、「異性愛」だけでは語りきれない愛の形が存在しています。アドラー心理学は、そのような多様性を排除するのではなく、「共に生き、共に創る」関係性を築けるかどうかという点に重点を置きます。

愛の成就とは、社会規範に従うことではなく、自分たちにとって真実の関係を築きあげる勇気にかかっているのです。

5. 「一緒に生きる」とは何を意味するか

「この人となら、どんな未来でも一緒に歩んでいける」。こう思えることは、恋の成就の一つの形かもしれません。しかし、それは幻想ではなく、日々の「対話」と「共感」の積み重ねによって育まれる現実です。

アドラーが語るように、愛とは「目的に向かって共に働く協力関係」です。そこには、甘さだけでなく、努力、調整、自己超越の意志が必要です。

「好きだから支える」ではなく、「支え合える関係を創っていく」という姿勢が、愛を“感情”ではなく“課題”として受け止めるということなのです。

6. 教訓:愛は「創る」もの、受け取るものではない

愛の課題に挑むとは、ただ恋に落ちることではありません。それは、「自分の弱さも、相手の弱さも抱えながら、ひとつの生活を築き上げる勇気を持つこと」です。

恋が始まるのは一瞬ですが、愛を育むには長い時間と覚悟が必要です。そしてその覚悟を持ったとき、私たちは初めて「本当の意味で誰かとつながった」と言えるのかもしれません。

第5章:自己拡張(Self-expansion)モデルとの融合視点

1. 「恋をすると人は変わる」は本当か?

「この人と出会って、自分が変わった気がする」

「彼と一緒にいると、新しい世界を見られる」

恋愛経験を持つ多くの人が、このような感覚を一度は抱いたことがあるでしょう。これこそが、「自己拡張(Self-expansion)」という心理学的プロセスの核心です。

自己拡張モデルとは、社会心理学者アーサロン・アロン(Arthur Aron)らによって提唱された理論であり、人は恋愛や親密な関係性を通じて「自分の能力、視野、可能性」を拡大していくというものです。恋愛は、自分という存在を“広げる”ためのきわめて自然な動機に根ざしているという視点です。

これは、「人は劣等感から目的を持って成長しようとする」と説いたアドラー心理学と、驚くほど親和性の高い理論です。どちらも、「人間は変化を望み、成長し続ける存在である」という前提に立っています。

2. 恋愛がもたらす“変化”は偶然ではない

アロンの研究によれば、恋愛初期の段階では、「新しい経験」が多く、「自己拡張」の速度も高いことがわかっています。たとえば、普段なら行かない場所に行く、初めての趣味に挑戦する、異なる価値観に触れる——こうした体験を通じて、人は「自分の境界線を拡張」し、新たな自己像を構築し始めます。

アドラー心理学でいう「目的志向」や「補償」に近い動きです。たとえば、自信がない人が、知的な恋人に惹かれ、自らも本を読み始めたり、学びに積極的になったりする現象は、まさに「自己拡張」が恋愛によって駆動された一例です。

このように、恋愛は人に「自分の世界を広げる動機」として強く作用しうるのです。

3. 事例:美和さんと健二さんの恋愛成長記録

美和さん(25歳)は、内向的で慎重な性格。新しいことにチャレンジするのが苦手で、安定志向が強いタイプでした。一方、健二さん(27歳)は、冒険心が強く、アウトドアやアートイベントなどに積極的に参加する行動派。

ふたりが付き合い始めた当初、美和さんは健二の誘いに戸惑いながらも、新しい体験を「断らずにやってみる」ことにしました。キャンプ、ロッククライミング、美術館のナイトツアー——彼女にとってはどれも未知の領域でした。

半年が経つ頃、美和さんは友人にこう話しました。

「私、少し変われた気がするの。前は“怖いからやめとこう”ってすぐに思ってたのに、今は“やってみようかな”って思えるようになった。」

これは、自己拡張モデルでいう“行動的拡張”の結果です。しかも、それは単なる環境の変化ではなく、「恋人とともに体験することで意味づけされた変化」なのです。

アドラー心理学的には、これは「劣等感の補償」から「社会的貢献への勇気」へと変容したプロセスでもあります。つまり、美和さんは恋を通じて“自分らしくいること”に制限を設けるのではなく、“自分を更新すること”に楽しさを見出せるようになったのです。

4. 恋愛における“閉塞感”とは何か?

一方で、「恋愛が息苦しい」「関係が停滞している」と感じることもあります。これは、自己拡張の視点から見ると、「関係性がもはや新しい自己の可能性を広げていない」状態とも言えます。

アドラー心理学でも、成長を促さない関係は「共同体感覚」の欠如とされ、相手との協力関係が失われた兆候と見なされます。つまり、「お互いが成長できるか」が恋の生命線なのです。

したがって、良い恋愛とは、「お互いが自分らしくありながら、同時に新しい自分にも出会える関係」です。これは、アドラーが説く“対等な協働関係”とも、アロンが説く“共同自己(Inclusion of Other in the Self)”とも一致する視点です。

5. 教訓:愛することは「自分を広げる」こと

恋愛とは、単に誰かと心を通わせる行為ではありません。それは、自分という存在を広げ、深め、変えていく“人生の冒険”なのです。

アドラー心理学の「勇気」と、自己拡張モデルの「探索」は、いずれも「今の自分を越えて、より豊かな存在になる」ための道筋を示しています。

「この人といると、自分がもっと好きになれる」。そう思える関係こそが、恋の成就の本質であり、心理的成長の証なのです。

第6章:成就への過程と心理的なターニングポイント

1. 恋の“成就”とは何か?

恋の「成就」と聞くと、告白が成功した瞬間、あるいは結婚という形式のゴールを想像する人が多いかもしれません。しかしアドラー心理学の視点では、恋の成就とは「関係性の完成」ではなく、「相互理解と共同性の深まり」のことを指します。

アドラーが重視するのは、「何を得たか」よりも「どう関係を築いたか」です。つまり、恋愛における“成就”とは、「ふたりが対等で自由な存在として、信頼し合い、協働して生きようとする姿勢を持てること」なのです。

この成就へ向かう過程は、直線的ではありません。むしろ、摩擦や衝突、不安や誤解を繰り返す中でしか見えてこないものです。そうした揺らぎの中で、人は“ターニングポイント”を迎えます。それが、恋を深化させるための「心理的転機」です。

2. 恋愛のフォー・ステージ(四段階)

アドラー心理学に基づく恋愛の変容プロセスを、以下の4段階に分けて捉えることができます。

① 気づき(Awareness)

恋の中で繰り返す失敗、衝突、不安——そうした経験が「自分のパターン」に気づく入り口となります。

② 分析(Analysis)

「なぜ自分はこうなってしまうのか?」を内省する段階。過去の経験、育った環境、ライフスタイルなどを振り返る。

③ 洞察(Insight)

「そうか、自分はこういう信念に縛られていたのか」と腑に落ちた瞬間。新しい選択肢が見えてくる。

④ 再構築(Reconstruction)

新たな行動を試み、パートナーとの関係性に変化を起こす。そこから関係の質が変わっていく。

この4ステップは、恋愛だけでなく人生全般に通じる変容の道筋でもあります。そして、どこかのタイミングで「気づく」ことが、恋愛を“成就”に向けて進化させる起点となります。

3. 事例:さとしさんと絵理さんの転機

さとしさん(35歳)は、交際3年目の絵理さん(33歳)との関係に疲れを感じていました。絵理さんは繊細で感情の起伏が激しく、さとしさんは常に「気を遣って言葉を選ばなければならない」と感じていたのです。

ある日、さとしさんはふと口にしました。

「自分の気持ちを正直に言うと、彼女が傷つくのが怖いんです。」

その言葉をきっかけに、彼は初めて「自分の中の“過剰な責任感”」に気づきました。幼少期、母親の感情を読むことで家族の平和を守ってきた経験が、今でも無意識に作用していたのです。

カウンセラーとの対話を通じて、さとしさんは「自分の感情を表現することは、関係を壊すことではなく、むしろ育てることかもしれない」と洞察しました。そして、その気づきをもとに、絵理さんに率直な気持ちを伝えました。

すると、意外にも絵理さんは「もっとあなたの本音が聞きたかった」と涙を流しました。ふたりは初めて“対等な対話”を経験し、それを機に関係は穏やかな信頼関係へと移行しました。

これが、恋愛における「心理的ターニングポイント」の典型です。

4. ターニングポイントの兆し

では、恋愛におけるターニングポイントはどのようなときに訪れるのでしょうか。いくつかの兆しがあります。

関係が行き詰まったように感じる

相手の言動に敏感に反応しすぎてしまう

「どうして私は…」という自問が増える

過去の恋愛パターンが繰り返されていることに気づく

こうした違和感は、単なる不調ではなく「変化の予兆」です。アドラー心理学における成長とは、まさにこの“違和感に気づく力”によって促されます。

5. 成就は“完成”ではなく“可能性”

恋愛が成就するとは、関係が「完成された状態になること」ではありません。それはむしろ、「ふたりでこれからも創り続けていこう」という意志が芽生えた瞬間のことを言います。

この意志が持てたとき、恋は“ロマンス”ではなく“協働”になります。それは、アドラーのいう「愛の課題」を乗り越えようとする、人生の冒険そのものです。

6. 教訓:変化の先に、恋は成熟する

恋愛においてもっとも重要な瞬間は、困難が訪れたときです。なぜなら、それこそが“成長の入り口”だからです。衝突や摩擦の中に、気づきの芽があり、洞察の種が隠れています。

そしてその種を見つけ、水をやり、育てていくことで、恋は単なる感情ではなく“関係性の知恵”へと変化します。

あなたがその旅に勇気をもって踏み出すならば、恋の“成就”とは、もう目の前にあるのかもしれません。

 

 

終章:恋は“完成”ではなく“協働”

1. 成就とは、物語の「終わり」ではない

「恋が成就する」と聞いたとき、私たちはしばしば、そこに“ゴール”を感じ取ります。付き合えたら成功。結婚できたら完成。そう思いがちです。

けれど、恋愛の本質は「始まり」ではなく、「続けていくこと」にあります。アドラー心理学は、この“続ける力”を「勇気」と呼びます。そして、恋愛とは、“二人で世界を共同創造していくプロセス”なのです。

誰かと出会い、心を通わせ、自分をさらけ出し、相手の不完全さも受け入れ、時にすれ違いながらも、それでも「共に歩こう」とする意志——それこそが、恋の成就の“本当の姿”です。

2. 愛とは“課題”であり“選択”である

アドラーは、愛を「人生の課題」として明確に位置づけました。それは、“解くべき問題”というより、“挑むべき生き方”です。

恋人関係においても、どちらかが依存し、もう一方が支えるという関係では、持続可能な幸福は訪れません。アドラーが求めたのは、「対等な協働」です。つまり、お互いが「選ぶ責任」と「関わる意志」を持ち続ける関係です。

恋愛は、感情や運命に翻弄されるものではなく、「意志と努力によって構築される関係」であり、そのプロセス自体が「成就」なのです。

3. 協働の姿:日常を共に耕す

協働とは、派手なドラマでもなく、ロマンティックな演出でもありません。それは、日々の「小さな対話」や「ささいな気づかい」の積み重ねです。

疲れているときに、お互いを責めるのではなく、労わること。

意見がぶつかったときに、「勝つ」ためではなく、「理解する」ために話し合うこと。

「何をしてもらえるか」ではなく、「何を共に作れるか」に視点を移すこと。

こうした日常的な「協働の行動」が、恋愛を“維持”から“創造”へと変えていくのです。

4. 共同体感覚(Gemeinschaftsgefühl)という結び

アドラーが生涯をかけて伝えようとした理念——それが、「共同体感覚(Gemeinschaftsgefühl)」でした。これは、個人が“自分一人の幸せ”ではなく、“他者と共に生きる喜び”を見出せるかどうかに関わる感覚です。

恋愛もまた、この共同体感覚の実践の場です。ふたりが「自分たちだけの幸せ」に閉じこもるのではなく、互いを通じて世界とつながり、人生の可能性を広げていく。それこそが、恋愛の最も成熟した形です。

5. あなた自身が物語の創造者である

最後に、もう一度問いかけます。

あなたにとって「恋が成就する」とは、どういうことですか?

このエッセイを通して明らかになったように、恋愛の“正解”は外にあるものではありません。それはあなた自身が、自分の過去と向き合い、自分の生き方を選び取りながら、誰かと「新しい物語」を協働していく中で、少しずつ創られていくのです。

恋は“完成”ではありません。それは、“終わりのない協働”です。だからこそ、そこには終わらない可能性と、無限の希望があるのです。

ショパン・マリアージュ

(恋愛心理学に基づいたサポートをする釧路市の結婚相談所)
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