<自分に都合の良い相手だから>
我々はよく「理想の女性」とか「理想の男性」とかについて語る。しかしよく考えてみれば、「彼女は僕の理想の女性だ」といって彼女について語ることの内容は、自分にとって都合がいいというだけのことである。
それは彼は理想の男性だという時についても同じである。
ある土地成金のお嬢さんがいた。彼女は虚栄心が強く自分の家が土地成金であることがいやであって、何かの地位が欲しかった。そこに現れたのが以前の華族さんであった。今の若い人が一般にまだ昔の華族などに何らかの魅力を持っているとは思われない。昔の公爵などの名前を言ってみたとて知らないだろう。ところがそのお嬢さんは腐る程お金があったが、それは土地を売って出来たお金で、そうした一切の伝統的価値から無関係の人だった。そこでたちまちその人に恋してしまったのである。
そこからが冷静な第三者からみれば馬鹿馬鹿しいことであるが当の本人達は真剣である。まずそのお嬢さんは殊勝にも、「私と貴方では身分が違います」といった。「貴方は私のような人間ではなく、もっと家柄のある人でなければ」と言っていたのである。
ところが男性が「もう今の時代に家柄なんて関係ない。僕はあなたがどんな家柄の人だって関係ない。あなたのように素晴らしい人を生み育てた家が素晴らしい家なのだ」と。
もう二人はお互いを褒め称えた。
その女性からみれば「何と謙虚な男性なのだろう。自分の家柄が鼻にかかってない」となって「スバラシー!!」となる。
何とかして伝統的な価値と結びつこうとしていた彼女にとっては都合が良かったのである。それが彼女には人格者と写った。
そして二人は同棲にはいった。その「人格者」にまいっていた彼女は、同棲中も「もし私がいやになったら捨ててもいいのよ」と言っていた。そこで彼の方は彼の方で彼女は天使のような女性と仲間に褒めちぎった。彼は周囲の人にお前らにはこんないい女性は見つからないだろう、こんないい女性には慕われないだろうと彼は得意だったのである。
彼が得意になるのは当たり前で、こんな自分にとって都合のいい女性はなかなかいない。
お互いに相手を理想の男性、理想の女性と褒め称えていた。しかし残念ながら恋の情熱はそう長く続くものではない。
<理想に目がくらんだための結末>
昔の公爵などといったって、自分の手の届かないところにあるうちは素晴らしく見えるけど、現実に同棲を始めればくだらない一人の男性にしか過ぎない。
男性にとっても女性がはじめ肉体を与えられれば感激するが、その感激も長続きするものではない。時が立つにつれてそれは当たり前のことになってしまう。
二人の気持ちは冷えてくる。
今度は女性の側は肉体と引き換えに結婚しなければ損だということになる。二人の関係はもつれ出した。
「話がはじめと違う」と二人とも言い出した。結末は女性が男性を訴えて、彼女にとってさして意味のない慰謝料を取ることになった。男性の方は親からもらっていた遺産をすべてとられてしまった。これは彼にとっては大変、痛いことだった。
そしてもはや二人の仲は公然のものであり内縁関係であったので、その女性は個人的にも社会的にも傷ついた。
ことは簡単なのである。少々品の悪い言葉を使わしてもらえば、安物買いの銭失いである。タダほど高いものはないということである。
男性はうまく同棲ができて男性の身勝手さが許されるので、相手を理想の女性といっただけの話である。もちろん当の本人が本気で理想の女性と思ったことには嘘はない。ただなぜ理想の女性といったかといえば、その女性が自分の身勝手を許すような言動をしたからに過ぎない。人間は他人の身勝手さはすぐにわかるが自分の身勝手さはなかなか気づかないものである。
女性の側からすればうまく一人の都合のいい男性が引っかかってきたというだけの話であろう。彼女にとっては「これはうまい話」であったのである。
彼女もまたうまいこといく相手がみつかったという自分のエゴイズムの恐ろしさには気づかず、相手を「人格者」だといっているにすぎなかったのである。自分を離れて人格者なのではなく、自分に都合いいから相手が人格者になっただけである。
二人とも、「うまいこといってる」と無意識に思っていたのだろう。
結果はそんなうまい話はないんだということで二人ともひどい目にあったのである。言ってみれば二人とも他人を見る目が甘かったのであろう。
自分も人間だが他人も人間なのである。自らが神様でない如く他人もまた神様ではない。
神様のようなことをいう人間はどこかにごまかしがある。そしてその神様のような言葉に乗っかって行動する人間は世間を甘く見ているのであろう。
このブログを書いた結婚相談所
ショパン・マリアージュは貴方が求める条件や相手に対する期待を明確化し、その基準に基づいたマッチングを行います。これにより、結婚生活の基盤となる相性の良い関係性を築くためのスタートを支援します。また、結婚に関するサポートや教育を通じて健全なパートナーシップを築くためのスキルや知識を提供します。