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そもそも恋愛と結婚は矛盾するのか? 〜恋愛心理学及び社会学の視点から〜

2025.05.03

ショパン・マリアージュ

近代以降、恋愛と結婚は不可分なものとして語られるようになった。しかし歴史をひも解けば、結婚はもともと血統、財産、政治的同盟の道具であり、そこに「愛」が求められることは稀だった。にもかかわらず、私たちはなぜ、愛と結婚を結びつけようとするのか。

20世紀以降、映画や小説、広告といったメディアは「恋愛こそが結婚の正統な入り口である」という物語を再生産してきた。映画『タイタニック』に見られるように、命を懸けてでも成就させたい愛、社会的障壁を乗り越えて一体となる恋人たちの姿は、視聴者に強烈な恋愛幻想を植えつける。

社会学者アンソニー・ギデンズが述べたように、現代社会では「純粋な関係性(pure relationship)」が重視され、個人の幸福や自己実現が人間関係の最上位に置かれる。この「純粋な関係」が最も具現化されるのが恋愛であり、その延長線上に結婚があるというイメージは、私たちの欲望と一致しやすい。

だが現実はどうか?恋愛感情は持続可能か?愛を土台とした結婚は実際に幸福なものとなりうるのか?

このエッセイでは、心理学および社会学の両視点から、「恋愛と結婚は矛盾する」という命題を検証していく。章ごとに事例や理論を交えて、多角的にこの永遠のテーマに挑みたい。

【第1章:歴史的視座からの乖離 ― 恋愛は結婚の条件ではなかった】

結婚と恋愛が一致するのは、ごく限られた時代と社会における特殊な現象にすぎない。歴史を遡れば、結婚の多くは家の存続、資産の移転、社会的な身分の確保といった外部要因によって決定されていた。

古代ローマでは、結婚は市民権を守る手段であり、父系の家系を存続させる制度だった。恋愛感情はむしろ自由恋愛や姦通、愛人文化の中に見られ、正妻との関係にそれを求めることは少なかった。

中世ヨーロッパでも、貴族の結婚は領地の拡大や外交の延長だった。婚姻前に恋愛関係があることはむしろスキャンダルであり、ロマンティックな愛は吟遊詩人が貴婦人に捧げる「宮廷愛」として、結婚とは別の文脈で語られていた。

日本の平安時代には『源氏物語』のように、恋愛と結婚が一致しないことが文学的テーマになっている。紫の上との愛を育んだ光源氏も、政治的な義務から複数の女性と結婚し、それが悲劇を生んでいく。

近代に入り、恋愛と結婚の一致が強調されるようになったのは19世紀後半の西欧においてである。ロマン主義の影響を受けた文学作品――たとえばジェーン・オースティンの『高慢と偏見』やシャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』――は、感情と社会契約の融合を理想化したが、これはあくまで中産階級の台頭と連動した新たな価値観だった。

社会学者H. Harlakは、現代においても多くの社会制度が「恋愛結婚の神話」によって設計されていることを指摘し、現実との乖離が離婚率の上昇や結婚忌避につながっていると述べている(Harlak, 2022)。

つまり、「恋愛結婚」は自然な人間関係ではなく、むしろ文化的に構築された期待であり、それが現実的制度と衝突するところに矛盾が生じる。現代の私たちが感じる葛藤は、長い歴史の中で生まれた「結婚」の機能と、「恋愛」の情動との間のねじれにほかならない。

【第2章:心理学的ジレンマ ― ロマンティックラブの儚さ】

心理学の見地から見ると、恋愛とは持続性に欠ける一過性の情動であり、長期的な人間関係である結婚とは性質を異にする。心理学者ロバート・スタンバーグは「愛の三角理論」において、愛を「情熱」「親密さ」「コミットメント」の3つに分類した。多くの恋愛はこのうち「情熱」に偏っており、最初は激しく燃え上がるが、時間と共に消失する傾向にある。

脳科学的にも、恋愛初期にはドーパミンやフェニルエチルアミンが大量に分泌されるが、これらはやがて代謝されて効果が薄れる。一方、長期的な結びつきを支えるオキシトシンやバソプレッシンは、安心感と愛着に関与するが、恋愛の興奮とは無縁である。

このため、「燃え上がる恋愛」が「安定した結婚」に移行するには、脳内物質のシフトと心理的期待の調整が必要になる。しかし多くの人はこの変化を「愛が冷めた」と捉え、幻滅に至る。

心理学者TL Hustonの研究では、恋愛感情が強いカップルほど結婚後の満足度が急降下しやすいことが示されている(Huston, 2009)。逆に、冷静な判断に基づいた結婚の方が長続きする傾向にある。

実際の事例として、3度の結婚歴を持つ女性M氏は、1度目は「運命的な恋」、2度目は「逃避的な恋」、そして3度目に「友情を基盤とした結婚」を選んだ。彼女は「最初の二つは恋に溺れて現実を見なかった。3度目は安心感を選んだ」と語る。

このように、恋愛と結婚の心理的要求は大きく異なり、両立には自己認識と適応が求められる。だが現実には多くの人が、恋愛の幻想のまま結婚に突入し、その後の変化に耐えられず破綻するケースが後を絶たない。

つまり、恋愛が結婚の基盤となるには、感情の持続性に依存するのではなく、理性や価値観の一致といった別の要素の補完が不可欠なのだ。

【第3章:結婚の制度的機能と感情の摩擦】

恋愛が感情の産物であるのに対し、結婚は本質的に社会的・制度的装置である。この構造的差異は、しばしば両者のあいだに摩擦を生む。特に現代においては、恋愛結婚というモデルが普及する一方で、結婚の制度的枠組みは旧来の役割と機能を維持し続けており、感情と制度のねじれが露呈している。

社会学者F. Dellによれば、結婚とはもともと財産の移転、家族制度の安定、労働の再生産を目的とする契約的関係である(Dell, 2025)。現代でも、税制優遇、医療保険の共有、相続など、結婚は多くの制度的利益を提供する。このような制度的インセンティブは、感情的結びつきとは無関係に機能する。

対照的に、恋愛は流動的で不安定な関係であり、時には制度と衝突する。たとえば、恋人が結婚によって姓を変えることへの違和感や、専業主婦・主夫という役割への忌避感は、恋愛における「自由」と結婚における「義務」の対立を象徴している。

この摩擦は、同性婚の法制化や事実婚、パートナーシップ制度の導入といった新たな制度設計によって一部緩和されているが、多くの国や文化では未解決のままである。制度は依然として異性愛中心・家父長制的なモデルを前提としており、多様な愛の形を包括できていない。

実例として、A氏(30代・女性)は、恋人と事実婚を選択したが、子どもの入園や病院手続きのたびに「配偶者ではない」という理由で制限を受けた経験を語る。「愛はあるのに制度が私たちを認めてくれない」との発言は、感情と制度の亀裂を象徴している。

また、感情の継続が難しい理由の一つは、結婚によって関係性が「公的義務」となることにある。Dellは、恋愛関係においては自己の自由や欲望の表現が尊重されるが、結婚においては社会的役割の遂行が要求されると指摘する。

このように、制度としての結婚は依然として機能しているが、それが感情的な幸福や愛情の維持と整合するとは限らない。むしろ、制度の要請が感情を圧迫し、愛の衰退を加速させるケースも少なくない。

よって、恋愛と結婚の関係を見直すためには、制度が愛に追従する形ではなく、感情の多様性と柔軟性に対応した制度改革が求められるだろう。

【第4章:愛を追いかける女たち ― フェミニズムと結婚制度の解体】

20世紀後半以降、第二波フェミニズムの興隆は、女性の主体性と自由を社会制度の再編とともに推進してきた。その運動は、恋愛と結婚におけるジェンダー構造の問い直しにも及び、「愛」と「結婚」の従来の関係性を根本から揺るがすことになった。

フェミニズムの立場から見たとき、結婚制度は長らく女性を家庭内に閉じ込め、経済的依存と性的従属を強いてきた装置と捉えられる。ベティ・フリーダンの『新しい女性の創造』やシモーヌ・ド・ボーヴォワールの『第二の性』は、家庭という空間が女性の自己実現を阻害することを明らかにし、多くの女性たちに「結婚しない選択肢」を提示した。

社会学者C. Piazzesiの研究では、恋愛と結婚が必ずしも一体化しない現代において、恋愛はむしろ自己決定やジェンダー表現の場となりうると論じられている(Piazzesi, 2022)。このような観点から、恋愛を「するかしないか」「誰とするか」という選択が、女性の社会的エージェンシー(自己決定権)と密接に関係することが明らかになった。

たとえば、都市部の30代女性を対象としたある調査では、「結婚よりも自己成長を優先したい」「恋愛はしたいが、結婚という形にはこだわらない」と答える割合が年々上昇している。これは、愛を「制度の枠組み」に収めることへの拒否感の表れである。

実例として、広告業界で働くB氏(40代・未婚)は、20代のころ3度の同棲と1度の婚約を経験したが、いずれも「パートナーの中に自分を埋没させたくない」という理由で別離を選んだ。彼女は「結婚という制度に自分の生き方が消されるようで怖かった」と語る。

一方で、「自由」を志向する恋愛にも限界があることを多くのフェミニストは認めている。恋愛感情はしばしばジェンダー化され、文化的規範に左右されるため、真の平等や相互性を実現するには、恋愛それ自体の見直しも必要である。

その中で注目されるのが、「恋愛回避型フェミニズム」とも言えるアプローチである。この立場では、恋愛関係から一時的に距離を置くことで、自らの価値観や生き方を再構築し、制度的枠組みに左右されない自己形成を目指す。

結婚という制度の再考を迫るフェミニズムは、単なる批判ではなく、新たな関係性の構築を志向する創造的運動でもある。選択的シングル、共同育児、契約的パートナーシップなど、多様な家族モデルが模索される中で、女性たちは「制度に従う愛」ではなく「自ら選びとる愛」の在り方を追求し続けている。

この章を通じて見えてくるのは、恋愛と結婚の矛盾が女性の生き方を制限してきた一方で、それに対抗する運動が新たな愛の形を提案しているという希望的側面である。

【第5章:ケースで読む恋愛と結婚の摩擦】

抽象的な理論や社会構造の議論とは別に、私たちの身の回りには恋愛と結婚の矛盾に直面する数多くの個人の物語が存在する。それらの具体的事例を通して、愛と制度がいかに食い違い、摩擦を生むのかを考察する。

最初に取り上げるのは、30代後半で離婚を経験したC氏の事例である。彼女は20代の頃、学生時代から付き合っていた恋人と10年越しに結婚した。当初は「やっと夢が叶った」と喜びを語っていたが、結婚生活は2年で破綻した。理由は、「結婚した途端に、彼が“夫”という役割に縛られ、恋人だった頃の自由な雰囲気がなくなった」というものだった。

C氏は「恋人としての関係を望んでいたのに、結婚したとたんに“妻としてこうあるべき”という期待を押し付けられた」と語る。このケースは、恋愛関係から制度的結婚に移行する際に生じる役割期待の変化と、それに伴う感情のすれ違いを象徴している。

次に紹介するのは、D氏(男性・40代)の経験である。彼は40歳目前で交際相手にプロポーズし、快諾されたものの、数ヶ月後に相手から破談を申し出られた。その理由は「結婚したら自分が母親のような役割を担わされる気がした」というものだった。

D氏は「愛情はあったが、彼女にとって結婚は“役割の負担”と映ったのかもしれない」と述懐する。恋愛は自由と対等性に基づくものである一方、結婚は固定化された性別役割や家庭内労働と結びつくという点で、心理的圧迫をもたらす場合がある。

また、同性愛カップルのE氏とF氏のケースも示唆に富む。彼らは事実婚関係を8年間継続し、共に暮らしながら仕事や家事を分担していた。制度上は「結婚」していないが、パートナーシップ制度を活用し、法的にも一定の権利を得ていた。

しかしある日、F氏が病院に搬送された際、「家族ではない」という理由でE氏は立ち会いを拒否された。E氏は「長年愛し合い、共に生きてきたのに、制度がそれを認めない現実に深く傷ついた」と語る。

この事例は、恋愛がいかに深い絆を生んでいたとしても、それを制度が保証しない限り、社会的承認を得ることができないという点を浮き彫りにしている。つまり、恋愛と結婚の矛盾は「感情のすれ違い」にとどまらず、「制度と感情のねじれ」でもあるのだ。

以上のような具体的事例を通じて見えてくるのは、恋愛と結婚の関係性が、単なる個人の選択や幸福の問題ではなく、制度・文化・ジェンダー役割など多層的な要因によって構成されているという現実である。

これらの摩擦は、恋愛と結婚を無条件に結びつけることのリスクを私たちに示していると同時に、愛のあり方やパートナーシップの形を再定義するきっかけにもなり得る。

【第6章:非一夫一婦制から見える別の可能性】

恋愛と結婚の矛盾が浮き彫りになる中で、従来の一夫一婦制に代わるパートナーシップの形に注目が集まっている。なかでも、コンセンサス型ノンモノガミー(CNM)やポリアモリー、スウィンガーといった関係性は、愛と制度の固定化を再考させる新たな試みとして注目される。

CNMとは、パートナー間の合意に基づき、複数の恋愛関係を同時に築く関係性である。これは裏切りや浮気とは異なり、誠実性と透明性を基盤としている。こうした関係性においては、「所有」や「排他性」という従来の恋愛観を手放すことが求められるが、その分、感情や欲望に対する新たな倫理が生まれている。

南アフリカの社会学者M. Bassonは、スウィンガー文化が結婚満足度にどのような影響を与えるかを調査し、従来のモノガミーにおける抑圧が、非モノガミーによって軽減される可能性を示唆している(Basson, 2023)。同調査では、非一夫一婦制のカップルが関係性において高い対話力と情緒的安定を維持しているという結果も報告されている。

事例としては、5年間の結婚生活の後、互いに他者との関係を認め合う形に移行したG氏とH氏の夫婦がある。彼らは「外の恋愛関係によってかえってパートナーシップが再確認された」と語っており、関係の流動性が信頼や誠実さの再構築に繋がる可能性を示している。

また、ポリアモリーを実践するI氏(女性・30代)は、「一人の人にすべてを求めることは、相手に過大な負担を強いる」と話す。彼女にとって恋愛とは、それぞれの関係から異なる価値を受け取ることであり、「補完的な関係性」によって感情の安定と自由を両立させている。

もちろん、これらの関係性がすべての人に適しているわけではない。むしろ、伝統的なモノガミーが安定をもたらすケースも多い。しかし、恋愛と結婚の矛盾を制度の柔軟化によって軽減しようとする取り組みが増えていることは、現代の親密性の再構築の兆候といえる。

結婚を「一つの愛の完成形」と見なすのではなく、愛を「さまざまな関係性の構築と維持の過程」としてとらえる視点こそ、これからの社会に求められるのかもしれない。

次章では、恋愛に過度な意味を背負わせることの危うさについて考察する。

【第7章:親密性という重荷 ― 愛は期待を超えられるか?】

現代の恋愛と結婚は、親密性という新たな期待を背負っている。かつて結婚が社会的義務や経済的契約であった時代から、私たちは「結婚=親密な関係性の完成形」という幻想へとシフトしてきた。しかし、この親密性こそが、関係に過度な重みを与え、破綻を早める要因ともなっている。

社会学者C. Forstieは、現代の恋愛や結婚が「過度に親密性を期待される関係」として構築される傾向にあり、それがかえって関係を脆弱にすると述べている(Forstie, 2017)。愛することは、すべてを共有し、すべてを理解し合い、感情のすべてを支え合うことと捉えられるようになっている。

しかし実際には、人間は他者のすべてを把握することも、無限に共感し続けることもできない。この「期待と限界のギャップ」こそが、現代の恋愛・結婚を苦しめる構造的要因である。

J氏(30代・男性)は、恋人との同棲生活を経て結婚に踏み切ったが、「すべてをわかってくれる人」という幻想に縛られ、些細な意見の相違にも深く傷ついたと語る。J氏は「愛しているのに、なぜ理解してもらえないのかと悩み、逆に相手を責めてしまった」と自己分析する。

このような親密性の重荷は、単なる「相性の悪さ」ではなく、そもそも現代の愛のイメージが過剰に理想化されていることに由来する。感情の完全な共有、性的排他性、精神的サポート、経済的協力、育児の共同……これらを一人の相手にすべて期待することは、構造的に無理があるのかもしれない。

このような問題を乗り越えるためには、「適度な距離」や「不完全な共有」を許容する関係性が必要である。親密でありながらも、独立性を保ち、時には理解不能な部分を尊重する——そうした「ゆるやかな関係性」が、むしろ持続可能な愛のかたちとなりうる。

親密性を重視する時代だからこそ、あえてその重みに耐えない愛の設計が模索されている。これは「愛の希薄化」ではなく、「関係の最適化」への試みであり、恋愛と結婚の矛盾を包摂する未来への一歩である。

【第8章:恋愛を否定することで得られる愛の形】

恋愛は常に「特別な感情」として称揚され、人生における最上位の体験とみなされてきた。しかし、近年ではあえて恋愛を否定する、あるいは優先順位を下げる生き方を選ぶ人々が増えている。それは「冷淡さ」ではなく、むしろ愛に対する新たな向き合い方の表れかもしれない。

仏教的な観点から言えば、愛は執着の一形態であり、苦しみの原因にもなりうる。恋愛における独占欲、期待、相手の変化への拒否感は、すべて「自己の欲望」の投影にすぎないという見方もある。このような思想は、恋愛を距離を取って眺める視点を提供してくれる。

実際、ある種のミニマリストやスピリチュアル系のライフスタイルを実践する人々の中には、「恋愛関係に縛られないことで、他者への無償の愛を広げることができた」と語る者もいる。愛とは一対一の関係性に限定されるべきではなく、家族・友人・社会全体に向けて拡張可能なものと捉える考え方である。

たとえば、J.K.氏(女性・50代)は、若い頃に2度の結婚と離婚を経験した後、恋愛や結婚を一切求めず、地域活動とアートに没頭する生活を選んだ。彼女は「恋愛に依存しなくなってから、自分をより深く知ることができた」と語り、今では子育て中の母親や高齢者とのボランティア活動に充実感を見出している。

また、恋愛を「人生の中心」に据えないZ世代の傾向も注目される。調査によれば、Z世代の若者の多くは「恋愛よりも自己実現や経済的自立を優先する」と答えており、恋愛をしないことがむしろ誠実な自己選択とされる文化が台頭している。

恋愛を否定することは、決して愛を否定することではない。むしろ、愛という概念を拡張し、特定の他者への情熱的な執着から、より広範で自由な関係性へと再編成することである。これは「愛しすぎない」ことによって、「愛の密度を高める」逆説的なアプローチでもある。

この章は、恋愛という前提から解放された愛のあり方を提示することで、恋愛と結婚の矛盾を根本から問い直す契機となるだろう。

【第9章:「愛に向かない」結婚と「結婚に向かない」愛の事例分析】

恋愛と結婚は、多くの場合で重なると考えられてきた。しかし実際には、「愛に向かない結婚」もあれば、「結婚に向かない愛」も存在する。ここでは両者の特徴と代表的な事例を通じて、その複雑な構造を明らかにしていく。

「愛に向かない結婚」の典型例は、経済的、文化的、宗教的要因によって成立した結婚である。たとえば、伝統的な家制度が根強く残る地域では、親の意向や家系の都合で結婚が決まり、当人たちに恋愛感情がほとんど存在しないまま婚姻関係がスタートする。

R氏(60代・男性)は、自身の結婚について「愛などなかった。ただ、家を継ぐ必要があった」と語る。彼の妻とは30年以上連れ添ったが、恋愛感情ではなく「同僚のような距離感」で関係が維持されたという。結婚生活自体は安定していたが、「幸福」という観点では語りづらいものだった。

一方、「結婚に向かない愛」には、激しい情熱や相互依存が強すぎて、制度的な枠組みに収まりきらない関係が挙げられる。たとえば、若い頃に燃え上がるような恋に落ちたS氏とT氏は、10年にわたって遠距離関係を続けた末に結婚した。しかし、日常の共有が始まると、かえって愛が摩耗していった。

T氏は「一緒にいないときはうまくいったが、同じ家に住むと息が詰まった」と振り返る。彼らの愛は距離や非日常性を前提に成立していたため、日常の繰り返しや家事・金銭といった現実的課題に直面すると、かつての情熱が持続できなかった。

このような関係は、「愛の強さ」だけでは結婚を支えられないことを示している。恋愛の熱量が高すぎると、かえってその後の平穏な関係に馴染めなくなる場合もあるのだ。

さらに、「恋愛=結婚の前提」という通念が裏切られたとき、当人たちは自己理解に苦しむことが多い。Z世代のカップルを対象とした調査では、「結婚したら愛が消えた」と感じる割合が高いことが明らかになっており、恋愛と結婚の心理的断絶が依然として深刻な課題であることを示唆している。

これらの事例は、恋愛と結婚を無理に一致させようとすることの危うさを物語っている。むしろ、それぞれが異なる欲求や目的に基づく関係であることを認めたうえで、柔軟な関係設計が求められる時代に入っているのかもしれない。

 

【終章:矛盾を受け入れるという新しい親密性のかたち】

本論を通じて明らかになったように、恋愛と結婚は本質的に異なる構造と機能を持ち、時に矛盾し合う関係である。恋愛は感情の高揚、自己表現、自由と変化を重視する一方で、結婚は安定、制度、共同生活、社会的役割といった側面を担っている。

この矛盾を「どちらか一方に寄せる」ことで解決しようとする試みは、しばしば破綻を招いてきた。恋愛を制度に押し込めようとすれば情熱が冷め、結婚に恋愛のような自由や情動を求めすぎれば、現実との乖離に苦しむことになる。

では、私たちはこの矛盾にどう向き合えばよいのか。それは、恋愛と結婚を「一致させるもの」ではなく、「異なるが両立可能なもの」として捉え直すことにある。つまり、恋愛は恋愛として、結婚は結婚として、それぞれの性質を認識したうえで、両者のバランスを主体的に設計するという姿勢である。

この姿勢の根底にあるのは、「完全な一致」や「理想的な統合」への幻想を手放す勇気である。むしろ、矛盾を受け入れ、それを前提に関係性を構築することで、より持続可能で多様なパートナーシップが可能となる。

たとえば、恋愛感情が冷めた後にも共に生きる選択をする夫婦や、結婚をしないまま共同生活を営むパートナー、あるいは複数の愛を認め合う関係性など、既存の枠にとらわれない実践がすでに各地で始まっている。

これからの時代に必要なのは、「愛か結婚か」という二項対立を超えた発想であり、矛盾の中に関係性の可能性を見出す柔軟な想像力である。

恋愛と結婚が矛盾することは、人間の関係性がそれだけ多様で奥深いことの証左に他ならない。矛盾を恐れず、それと共に生きることで、私たちはより自由で誠実な親密性のかたちを手に入れることができるだろう。

 

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