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「コスパで選ぶ新たな結婚スタイル」〜恋愛心理学者及び社会学者の視点から〜

2025.05.04

ショパン・マリアージュ

序章:「愛」から「合理性」へ——結婚の目的が変わるとき

かつて結婚は「運命」や「ときめき」といった非合理的要素に支えられていた。情熱、浪漫、あるいは社会的慣習が中心的な要因だった。しかし21世紀を迎え、特に都市部に住む高学歴層や共働き家庭を中心に、結婚を「戦略的な人生の意思決定」としてとらえる潮流が台頭している。その最たる象徴が「コスパ婚」である。ここでの「コスパ」は、家計や資産の効率性だけでなく、感情労働、家事負担、育児、キャリア支援などを含めた“包括的合理性”を意味する。

現代人にとって結婚とは、「感情だけで突き進むもの」ではなくなった。恋愛や結婚の目的が「心の安らぎ」から「人生戦略」へと移行しつつある中で、恋愛心理学と社会学の視点からこの変化を理解することは極めて重要である。本論考では、実際の事例と実証研究に基づきつつ、経済合理性を重視した新しい結婚観の輪郭を明らかにしていく。

このエッセイは以下の章立てで展開する。

恋愛心理学における“コスト・ベネフィット”分析

社会学的視点——経済行為としての結婚

デジタル時代の“コスパ婚”の実態と実例

批判と反論——合理性の限界と“感情の居場所”

結語:「愛のリターン」としての幸福度

それぞれの章で、論文・事例・社会的背景をもとに、冷静かつ多角的に「コスパ婚」という現象を解剖する。

第1章:恋愛心理学における“コスト・ベネフィット”分析

1.1 社会的交換理論と恋愛の選択モデル

恋愛における意思決定が、感情的な衝動のみならず、実際にはきわめて合理的な判断に基づくものであるという見解は、恋愛心理学の分野において数十年にわたって論じられてきた。その中核をなす理論が、Thibaut & Kelley(1959)によって提唱された「社会的交換理論(Social Exchange Theory)」である。

この理論では、人間関係における満足度は「報酬(Reward)」と「コスト(Cost)」の差によって決まり、より大きな“利益”を得られる関係に人は惹かれるとされている。つまり、パートナーシップは本質的に「投資対効果」の判断で成り立つ。たとえば、相手が自分に与えてくれる経済的支援、精神的安定、性的満足、社会的ステータスといった“報酬”が、自分が払う努力や犠牲(時間、自由、精神的労苦)を上回ると判断されると、その関係は維持されやすい。

この理論を応用すれば、現代の「コスパ婚」もまた、愛情のあるなしにかかわらず、「総合的な効用が高い」関係を追求した結果として理解できる。

1.2 感情的充足 vs 機能的効率

Bissell(2014)は、文化的・マクロ経済的文脈の中で“恋愛現実主義(romantic pragmatism)”の台頭を指摘した。研究では、低成長経済、労働の流動化、長期安定雇用の喪失といった社会的要因が、若者たちに恋愛における「損得勘定」を促進させているという。

たとえば、ある20代後半の女性は、長年付き合っていた恋人との関係に疲弊した結果、マッチングアプリを通じて「家事力が高く、転勤のない地方公務員」と合理的な条件でパートナーを選び、1年後に結婚した。「感情的に強く惹かれたわけではないけど、彼となら人生を穏やかに歩めそうだと思った」と語っている。この事例は、感情的充足よりも「生活の安定」や「共益性」に重点を置いた“実利型愛情”の典型である。

このような恋愛観は、感情の深度よりも、協働可能性や将来設計の整合性を重視する傾向と結びついており、「長期的満足」という観点から高コスパな結婚と位置付けられる。

第2章:社会学的視点——経済行為としての結婚

2.1 家族の機能と結婚の経済的再定義

社会学の立場から見ると、結婚は「社会再生産装置」としての役割を持つと同時に、経済的協力関係でもある。従来の結婚観では、夫が働き手、妻が家庭担当という「分業型モデル」が中心であったが、近年は「共働き型」「協働型」「契約型」と多様なスタイルが出現している。

Grossbard(2015)は、結婚を「市場」で取引される関係性と見なす「婚姻市場モデル」を提示している。彼女の理論によれば、結婚とは「供給」と「需要」に基づく交渉であり、各人が自らの人的資本(年収、学歴、家事能力、容姿、子育てスキルなど)を駆使して“最適なマッチング”を追求するプロセスとされる。

この理論は「コスパ婚」を非常によく説明しており、たとえば次のようなパターンに反映される:

年収600万円の男性と、年収500万円の女性が共に家事能力を重視し、効率性を重んじた契約的共働き生活を選ぶ。

「共益」を最大化するために子どもを持たないという選択をする。

このような関係性は、従来の「家族ロマン」よりもむしろ「経済単位としての共同体」の色合いが強い。

2.2 法制度と経済的合理性の接続

Estin(1994)は、法律と結婚制度の接点において、結婚が単なる恋愛契約ではなく「法的・経済的機能を有する契約」であることを強調する。たとえば婚姻によって発生する税制優遇、保険制度、相続権といった制度的利益は、結婚を“人生の資産設計”として位置付け直すきっかけとなる。

実際に、都市部の高収入層や経営者の間では、「税制メリット」「遺産対策」「ビジネスパートナーシップ」としての結婚が議論されており、ロマンチックな感情よりも戦略的合理性が重視される傾向が強まっている。

結婚という制度が、感情的な儀式から法的な契約へと変容することは、「家族のかたち」の再編と密接に関係している。

第3章:デジタル時代の“コスパ婚”の実態と実例

3.1 マッチングアプリが生んだ「条件最適化」の結婚観

近年、恋愛・結婚市場において急激にその存在感を増しているのが、マッチングアプリをはじめとするテクノロジーの影響である。これらのツールは、個人が求める条件(年収、職業、趣味、学歴、子どもの有無、居住地など)に基づいて理想的なパートナーを検索・選定できるシステムを提供しており、まさに「最適化された出会い」を可能にしている。

Schmitzら(2017)の研究によると、デジタルマッチングの構造は従来の恋愛文化とは異なる論理で動いており、情緒的なつながりよりも、条件・効率・リターンといった“計算可能な価値”が優先される傾向にある。たとえば、あるアプリの利用者は次のように述べている。「プロフィール欄にある“希望年収”と“居住地”“料理ができるか”でまずふるいにかける。無駄なデートで時間とお金を浪費したくない」——この発言は、まさに“恋愛のコスパ化”を象徴している。

3.2 ケーススタディ1:共益性を重視した合理的婚

東京都在住の女性Aさん(31歳・広告代理店勤務)は、30歳を迎えた際、明確な結婚目標を持ってマッチングアプリを開始した。彼女の条件は「都内在住、年収600万円以上、転勤なし、家事育児に協力的な価値観」だった。彼女は1年以内に該当する男性(32歳・SE)とマッチし、半年後に結婚。共働き家庭として生活費を50:50で分担し、掃除・料理はそれぞれの得意分野で担当、育児に関しては業務委託や保育園制度の積極利用を前提とした設計を構築した。

Aさんは「“大好き”で燃え上がるような恋愛ではなかったけれど、“一緒に生きていく安定感”を感じた。今の暮らしに不満はない」と語る。この事例は、感情の激しさよりも“持続可能性”“相互補完性”“資産運用としての結婚”を優先する現代的カップルの実例である。

3.3 ケーススタディ2:資産防衛と税制戦略としての結婚

一方で、結婚を完全に“人生戦略”として設計する層も存在する。男性Bさん(39歳・起業家)は、法人の節税対策および相続計画の一環として「同業でフリーランスとして成功している女性Cさん(35歳)」との結婚を決断。両者ともに恋愛感情よりも「相互利益」に焦点を当て、結婚契約書には婚前資産の完全分離、収益不動産の共同所有比率、税務顧問の共有などの条項が明記された。

このような事例は極端に見えるかもしれないが、Estin(1994)が指摘するように、法的制度と結婚制度が密接に連動している現代においては、結婚も一種の「契約行為」であり、そこに感情以外の戦略的要因が入り込むのはごく自然な流れと言える。

3.4 “合理的結婚”における感情の位置付け

では、こうした“合理的な結婚”には、感情的な豊かさは不要なのだろうか。むしろ逆である。Bissell(2014)は「合理性の中にも感情の再配置が見られる」と述べており、感情は「前提」から「副産物」へと位置づけが変化したに過ぎない。つまり、条件が整った上で生まれる信頼感や安心感が、後天的な情愛へとつながるケースが増えている。

これらの事例に共通するのは、恋愛や結婚を「人生の戦略的要素」として設計する点である。マッチングアプリはその戦略を実現するインフラであり、「偶然の出会い」よりも「意図された合意」の方が長期的安定につながるという新しい常識が浸透しつつある。

第4章:批判と反論——合理性の限界と“感情の居場所”

4.1 「経済合理性」への倫理的懸念と文化的違和感

コスパ婚に対して最も多く寄せられる批判は、「人間関係において合理性を最優先することへの不信感」である。Baron & Dunoff(1995)は、法経済学における市場合理性に対する道徳的懐疑を述べ、「人間の感情や義務感は価格化できない」と警告した。この視点から見れば、結婚を損得勘定で捉えるコスパ婚は、結婚本来の「情緒的結合」「人生の伴走者」という価値を棄損しているとされる。

特に、伝統的な家族観が根強い文化圏においては、恋愛や結婚に“無私の愛”や“奉仕の精神”が期待される傾向がある。そのため、経済合理性に基づく婚姻選択は、「冷酷」「自己中心的」といった否定的評価を受けることもある。

4.2 合理的選択の脆さ——変動する価値の罠

さらに、コスパ婚が抱える構造的なリスクとして、「条件が変われば契約も終わる」という脆さがある。たとえば、配偶者が失職した、病気で家事ができなくなった、年収が下がった——これらの変化は、初期の条件的魅力を損ねる可能性がある。

Grossbardの「婚姻市場モデル」でも指摘されている通り、人間関係を市場に例えると、供給・需要・価格の変動により契約の見直しが起こるのは自然なことだ。しかし、それを結婚に適用した場合、「パートナーの価値が下がった瞬間に関係が揺らぐ」という極めて不安定な心理状態をもたらすことになる。

4.3 感情の“再発見”と補完的役割

一方で、こうした批判を受けながらも、コスパ婚の実践者たちの中には、合理的な条件が整った後に「安心」「信頼」「共闘感覚」といった感情が芽生えるケースも多く報告されている。Anderson(1995)は、経済的価値と倫理的価値の両立を可能にする中間的モデルの必要性を論じ、「交換価値と使用価値が共存する関係こそが本質的な人間関係」と説いている。

つまり、感情は合理的設計の副産物として生成されることもあり、それがむしろ「安定した愛情」の基礎となる可能性がある。たとえば、互いの仕事を尊重し合い、家事分担が合理的に定められた夫婦が、5年後には“無償の愛”や“深い信頼”で結ばれていることも稀ではない。

4.4 合理性と感情の協働モデルへ

本章の総括として重要なのは、「合理性と感情は二項対立ではなく、補完関係にある」という視点である。コスパ婚が感情を排除するのではなく、“感情を後天的に育むための土壌を整えるプロセス”であると捉えることで、その存在はより豊かな人間関係の可能性を示すものとなる。

感情を信仰のように捉える古典的恋愛観と、合理的選択を重視する現代的婚姻観。その両者が交わる地点に、新しい愛の形が芽生えつつあるのかもしれない。

 

第5章:結語:「愛のリターン」としての幸福度

「結婚とは何か」という問いに、今ほど多様な答えが求められている時代はない。かつては社会制度、宗教的儀礼、家族間の契約であったものが、現代では“個人の幸福追求”という文脈で語られるようになった。そしてその幸福の測り方もまた、感情的満足から合理的利益へと軸足を移しつつある。

本論考を通じて見えてきたのは、「コスパ婚」が単なる功利主義的結婚スタイルではないという点である。それはむしろ、安定と成長、信頼と協業、未来設計の調和といった“実質的幸福”を実現するための枠組みであり、従来の恋愛至上主義の限界を補完する存在でもある。

確かに、感情的な衝動に任せた恋愛の中には、映画や文学に描かれるようなドラマティックな高揚感がある。しかしその一方で、生活という現実のフィールドにおいては、収入、家事、育児、親との関係、住宅ローンといった様々な課題が重くのしかかってくる。そこに感情だけで立ち向かうのは、時としてあまりにも非現実的である。

その点、コスパ婚はそうした複雑な現代社会における“問題解決型の結婚”として、極めて実用的で、なおかつ柔軟性のある関係モデルを提供している。計画的に設計されることによって、パートナー間の役割分担や期待値のすり合わせが初期段階で明文化され、紛争や誤解を最小限に抑えることができる。

さらに注目すべきは、こうした合理的基盤の上に、時間をかけて育まれる信頼や情愛が、従来の恋愛感情とはまた違った種類の“深み”を持ち得るという点である。愛は必ずしも最初から存在するものではなく、共有された経験や困難の克服を通じて「形成される」ものでもある。コスパ婚は、そうした“形成される愛”の土台として機能している。

最後に、結婚を「リターンのある投資」としてのみ捉えるのではなく、そのプロセス自体がもたらす“人生の質的向上”にも注目すべきである。配偶者という存在を通じて、自己の成長、価値観の再構築、社会との新たな関係性が生まれる。こうした意味で、コスパ婚は“感情と合理性の統合”という、新しい幸福モデルの提示であるとも言えるだろう。

今後の社会において、結婚はますます多様な選択肢のひとつとなっていく。その中で「コスパ」という概念が、感情の否定ではなく、“幸福の設計思想”として再評価されていくことが期待される。

 

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