【コラム】「“正論”で人は動かない」を知った日
あれは3年前。営業部の全体会議。
目標未達の原因について、部下の田村くん(当時27歳)に対して、私はこう言った。
「君の行動量が足りないんだよ。数字は嘘をつかないから」
確かに正論だった。
でもその瞬間、彼の顔がスッと曇った。
唇を噛みしめ、何も言わずに座り直した。
その後、彼は次第に報連相をしなくなり、チーム全体もどこか重い空気に。
月日が流れ、異動前の最終日。
田村くんがそっと言った。
「あのとき……“どうしたの?”って聞いてくれてたら、
俺、もうちょっと頑張れたかもしれないです。」
心に、ずしんと何かが沈んだ。
“正論”が悪いわけじゃない。
でも、“正論”だけでは、人の心は動かない。
動くのは――「気づいてもらえた」「わかろうとしてくれた」その感覚。
会議でも、部下への指導でも、家庭でも、恋愛でも。
「正しい言葉」ではなく、「伝わる言葉」を選ぶ人が、信頼をつかむ。
それを忘れないよう、今も私はこの言葉を心に置いています。
「人は、理解されたいと思っている。
だからまず、“理解しようとする姿勢”こそが、最大のコミュニケーション。」
